雇用契約書の作成に向けたご確認

雇用契約書をつくる前に決める所定労働時間

Dog Salon Etoile 様からいただいた事前情報をもとに、雇用契約書(労働条件通知書を兼ねたもの)の作成を進めています。契約書の勤務時間・残業・休憩・給与の欄は「所定労働時間」が決まらないと書けないため、先にこの点を確認させてください。

このページの要点

  1. 所定労働時間は、お店とスタッフが「この時間は働く」と約束する時間です。法律が決める上限(1日8時間・週40時間)の範囲内でお店が決めます。
  2. 残業代の計算、必要な休憩時間、月給が最低賃金を上回っているかの確認、社会保険・雇用保険の加入は、所定労働時間をもとに判定します。
  3. まだ決まっていない点を、ページ下の回答欄に質問としてまとめました。入力後に「回答をコピー」を押し、11月10日(火)までに当事務所へお送りください。

01所定労働時間と法定労働時間の違い

名前は似ていますが、決める人と役割が違います。

法定労働時間所定労働時間
決める人法律(労働基準法)お店。契約書に書いてスタッフと約束します
内容1日8時間・週40時間。これを超えて働かせてはならないという上限です始業時刻から終業時刻までの時間から、休憩時間を引いた時間です
超えた場合25%以上の割増賃金が必要です残業になります。割増が必要かどうかは、法定労働時間を超えたかどうかで決まります

所定労働時間は始業時刻・終業時刻・休憩時間の3つを決めると決まります。始業10:00、終業18:00、休憩1時間なら、1日の所定労働時間は7時間です。

所定労働時間の間、スタッフには仕事に専念する義務があり、お店には賃金を支払う義務があります。予約が入っていない時間も、スタッフがお店で待機していれば労働時間に含まれます。

契約書には「7時間以内」「予約状況による」のような幅のある書き方をせず、「7時間」と時間を特定して書きます。幅のある書き方では何時間働く約束なのかが決まらず、遅刻・早退・残業を判断する基準がなくなります。予約状況で勤務時間が変わる場合の書き方は、04でご説明します。

02所定労働時間をもとに決まること

契約書の次の4項目は、所定労働時間が決まってから書きます。

所定労働時間 7時間(休憩を除く)
勤務 休憩 勤務 残業 残業
10:0013:0014:0018:0019:00
  • 10:00〜18:00(休憩を除く7時間)が所定労働時間です。
  • 18:00〜19:00の残業は1日8時間以内に収まるため、割増のない通常の賃金を支払います。
  • 19:00以降の残業は1日8時間を超えるため、25%以上の割増賃金が必要です。
始業10:00、終業18:00、休憩1時間(13:00〜14:00)の場合の例です。
項目所定労働時間との関係
残業代所定労働時間を超えて働いた時間が残業です。そのうち1日8時間または週40時間を超えた分に、25%以上の割増賃金が必要です。
休憩労働時間が6時間を超える日は45分以上、8時間を超える日は1時間以上の休憩が必要です。
月給と最低賃金月給を1か月の所定労働時間で割った金額が、最低賃金以上である必要があります。
社会保険・雇用保険雇用保険は、週の所定労働時間が20時間以上かどうかで判定します。社会保険は週の所定労働時間と1か月の勤務日数を正社員と比べ、4分の3以上かどうかで判定します。

月給175,000円の場合の試算

正社員に登用した場合に予定されている月給175,000円を、1か月の平均所定労働時間で割りました。年間の勤務日数は260日(週5日×52週)と仮定しています。

1日の所定労働時間1か月の平均所定労働時間時間あたりの金額
7時間(休憩1時間)約151.7時間約1,153円
7時間15分(休憩45分)約157.1時間約1,114円

熊本県の最低賃金は2026年11月30日まで1,034円、12月1日から1,092円です。上の試算はどちらも1,092円を上回り、試用期間中の時給1,100円も上回っています。年間の休日数が決まった段階で、当事務所が正式に確認します。

03事前情報から整理できたこと

いただいた内容で仮に計算すると、次のようになります。

11月入社の方1月入社予定の方
事前情報10:00〜18:00。予約状況により17:00頃に終わる日あり。休憩はパート期間が45分または1時間、正社員は原則1時間。基本は週休2日10:00〜16:00。休憩は30分を想定。平日週5日程度
1日の所定労働時間休憩1時間なら7時間、休憩45分なら7時間15分休憩30分なら5時間30分、休憩なしなら6時間
週の所定労働時間
週5日の場合
35時間、または36時間15分27時間30分、または30時間
決まっていない点休憩は45分か1時間か。17:00頃に終わる日の扱い。正社員になった後の勤務時間休憩をとるかどうか。週の勤務日数は5日で固定か

1月入社予定の方に必要な休憩

10:00〜16:00の勤務なら、休憩30分でも休憩なしでも法律上の問題はありません。法律で休憩が必要になるのは労働時間が6時間を超える日で、6時間ちょうどまでは休憩の義務がありません。

16:00を過ぎて残業し、労働時間が6時間を超える日は、45分以上の休憩が必要です。残業の可能性があるなら、休憩を45分にしておくと、労働時間が8時間以内の日は休憩が不足しません。

1月入社予定の方の社会保険

現在の想定(週27時間30分)は、正社員の週の所定労働時間を35時間とした場合の4分の3(26時間15分)を上回ります。このままの条件では、1月入社予定の方も社会保険の加入対象になる可能性があります。

ご本人が扶養の範囲内での勤務を希望されている場合は、勤務日数や勤務時間の調整が必要になります。ご本人の希望を確認してください。

0417:00頃に終わる日の決め方

予約状況で終業が早まる日がある場合、契約書への書き方は3通りあります。

案1 終業を18:00に固定する

契約書の書き方
10:00〜18:00
17:00で終えた日
お店の都合による早上がりです。時給の方については、働かなかった1時間分の賃金を支払うかどうかを契約書で決めておきます。月給の方の月給は変わりません。
合う場合
17:00に終わる日が少ない

案2 終業を17:00に固定する

契約書の書き方
10:00〜17:00
18:00まで働いた日
1時間の残業です。1日8時間以内なので割増はなく、通常の賃金1時間分を支払います。月給の方にも、残業した日ごとに1時間分の残業代が必要です。
合う場合
17:00に終わる日のほうが多い

案3 シフトで日ごとに決める

契約書の書き方
始業10:00、終業は17:00または18:00。各日の終業時刻はシフト表で決める
早く終えた日
シフト表で決めた時刻がその日の終業時刻です。シフトを確定した後にお店の都合で早めた日は、案1と同じ扱いです。
合う場合
予約状況がシフトを組む時点で分かる

案1と案3では、お店の都合で休ませた時間が長い日に、休業手当(平均賃金の6割以上)が必要になる場合があります。案2では所定労働時間が1日1時間短くなるため、月給の時間あたりの金額と、社会保険の判定に使う正社員の所定労働時間が変わります。

どの案が合うかは、17:00頃に終わる日の頻度と、それが分かる時期で決まります。回答欄のご回答をもとに、当事務所から案をご提案します。

05ご回答のお願い

次の質問にお答えください。勤務時間の欄には、事前情報の内容をあらかじめ入れています。

入力した内容はこの画面の中だけで扱われ、どこにも送信されません。入力後に「回答をコピー」を押し、コピーした文面をいつものご連絡方法で当事務所へお送りください。期限は11月10日(火)です。

A 11月入社の方

A-1 契約書に書く勤務時間

パート期間の休憩を45分にするか1時間にするかをお選びください。ほかの欄は、変更がなければそのままで構いません。

A-2 17:00頃に終わる日はどのくらいありますか

A-3 17:00で終わることはいつ分かりますか

A-4 17:00で終えた日の、18:00までの1時間分の賃金(時給の期間)

A-5 正社員になった後の勤務時間

B 1月入社予定の方

B-1 契約書に書く勤務時間

休憩をとるかどうかと、週の勤務日数をお選びください。週によって日数が変わる場合は、自由記入欄にお書きください。

B-2 16:00を過ぎて残ってもらう日はありますか

B-3 社会保険の加入についてのご本人の希望

C お二人に共通

C-1 10:00より前の開店準備や、終業後の片付け・清掃はありますか

準備や片付けの時間も労働時間に含まれるため、始業時刻と終業時刻に反映します。

C-2 休憩中に電話や来客の対応をお願いすることはありますか

休憩は仕事から離れて自由に使える時間である必要があり、対応をお願いする時間は休憩に数えられません。

C-3 ペットホテルのお世話を、営業時間外(朝・夜・日曜)にスタッフが担当することはありますか

C-4 18:00を過ぎる残業はどのくらいありますか

D 自由記入

上の選択肢に当てはまらないことや、補足があればお書きください。

コピーできない場合は、上の枠の文面を選択してコピーしてください。

ご回答後の流れ

  1. ご回答をもとに、当事務所がお二人の所定労働時間と、17:00頃に終わる日の扱いをご提案します。
  2. 所定労働時間が確定したら、当事務所が最低賃金、休憩、社会保険・雇用保険の加入を確認します。
  3. 当事務所からパート・アルバイト用と正社員用の雇用契約書の案をお送りします。
根拠となる法令
法定労働時間(労働基準法第32条)
「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
休憩(労働基準法第34条第1項・第3項)
「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」「使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。」
割増賃金(労働基準法第37条第1項、平成6年政令第5号)
「使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」
政令「労働基準法第三十七条第一項の政令で定める率は、同法第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長した労働時間の労働については二割五分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については三割五分とする。」
https://laws.e-gov.go.jp/law/406CO0000000005
休業手当(労働基準法第26条)
「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」
契約書に書く事項(労働基準法施行規則第5条第1項第2号)
「始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023
月給と最低賃金の比べ方(最低賃金法施行規則第2条第1項第3号)
「月によつて定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によつて所定労働時間数が異なる場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除した金額」
https://laws.e-gov.go.jp/law/334M50002000016
雇用保険(雇用保険法第6条第1号)
適用しない者として「一週間の所定労働時間が二十時間未満である者」を定めています(かっこ書きは省略)。
https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116
社会保険(健康保険法第3条第1項第9号)
正社員と比べる基準として「一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者」「一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者」を定めています(抜粋)。
https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070
熊本県の最低賃金
熊本労働局の公表によります。
https://jsite.mhlw.go.jp/kumamoto-roudoukyoku/content/contents/002801896.pdf
待機時間・準備時間の扱い
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)によります。